【参拝旅行記】灼熱の美濃 秘境神社探訪 その1

一昨年の春、岐阜県関市の武芸八幡宮を訪れとても感動した。

街から近いと思ったらすぐに山の中みたいな雰囲気になり、灯籠と並木に囲まれた長い参道を進む静謐な神社だった。

この時、ほど近いながらも車を運転できなかったために断念した神社がありいつか訪れようと考えていたわけだが、ついでにその辺りの山奥にいい神社はないか…とマップを探していると関市の北、郡上の西側の山中にやたら雰囲気のいい神社がぼんぼんと出てきた。またそれとは別に巨木を調べていると出てきた巨木秘境神社もあり、4日間の休みを利用してすべて回る計画をたて実行に移した。

白山に至る美濃禅定道

石川県と岐阜県にまたがる霊峰白山は富士山や立山と並び三大霊山とされている。かつて修行のための白山登拝には主に3つのルートがあった。

加賀禅定道…白山総本宮の白山比咩神社を起点とする

越前禅定道…福井県の平泉寺白山神社を起点とする

美濃禅定道…郡上市の長滝白山神社を起点とする

いずれも山を越え谷を越える過酷な道である。この美濃禅定道の起点から山頂までのほぼ中間地点にあるのが最初の目的地「白山中居神社」である。

巨木検索で出てきたこともあり、ここを最初の目的地とした。

岐阜駅に到着

名古屋駅に着き岐阜へ向かうさなか重大なことを調べ損ねていたことに気づく。

岐阜県の山中はヤマビルが大量に出没する地域だということ。

私はとにかくヒルが怖い。房総の南部で餌食になってからというものとにかくヒルを避けるように生きてきた。ここにきて梅雨明けたのかよくわからない夏場にヤツらの狩場に飛び込むことに、旅程の変更も考えつつもとりあえずは薬局のアルコールスプレーを購入し武装することにした。

忌避剤は売っていなかった。都市部には出ないのだろう。県民はみんなBBQ好きだというが川沿いには出ないのだろうか。

ほぼ福井県境 山奥の秘境白山中居神社へ

レンタカー屋にて新型アクアを借り旅程で最も遠い白山中居神社を一気に目指す。

縦に長い郡上市の北部、石徹白 (いとしろ)という地区にあり、都市部からは車へも3時間程度かかる秘境。福井の勝山から目指した方が近そうである。

山を越え谷を越え、途中大きな滝 (霧ヶ滝)を横目に走り、ようやく到着。

鳥居を超えるとさっそく杉の巨樹が出迎えてくれる。

不意に失礼します。。と頭を下げそうになる出立ち。とはいえヒルいるのか!?とビビっているので浸る余裕がない。湿った石段で滑らないことだけ考えて進む。                                                                        

橋を渡り再び石段を登った先に社殿が立つ。

境内は至るところに巨杉がひしめく。ここからさらに登っていくと国の特別天然記念物に指定された石徹白の杉がある。

御祭神は菊理媛神(白山比咩神)、伊弉諾尊、伊奘冉尊 (イザナギ、イザナミ)と白山比咩神社と同じであり、まさに白山信仰の中心であると言える。

結果的にここでヒルに遭うことはなかったがせっかくの神域もまったく堪能できなかった気がする。4月あたりならのんびり参拝できるだろうか。この辺りには雪が残っているかもしれない。

白山中居神社
〒501-5231 岐阜県郡上市白鳥町石徹白3−48概要岐阜県郡上市の北方、福井県との県境の近くであり、白山の南に位置する石徹白に鎮座する神社である。白山登拝を目指す道は美濃馬場 (美濃地方から白山を目指す際の拠点)である長滝白山神社から始...

美濃における白山信仰の中心地、長滝寺と長滝白山神社

来た道を引き返し長滝という町へ。

ネットでの評価が高かったことと御朱印があるということで旅程に入れていたが、いい意味で期待を裏切られた。期待を遥かにこえる素晴らしい神社だった。

現在でも寺と神社が同じ境内に建つここはかつて「上り千人下り千人」と言われるほどの白山登拝の拠点であり、一万三千石の寺領を誇る巨大寺院だったという。ちなみに一石=約150kgの米という単位らしい。あくまで目安だそうです。

訪れる修験者を世話する役職の人たちも多くいたという。

長い歴史の中で幾度となく火災に遭い堂宇を焼失しては再建して現在に至る。

広く、きれいに整えられた境内に巨大な拝殿など、全盛期から規模縮小したとはいえその面影を残す名社であった。

長滝白山神社
〒501-5104 岐阜県郡上市白鳥町長滝91概要霊峰白山への登拝路は禅定道と呼ばれ、岐阜側から登る「美濃禅定道」の起点となるのがここ長滝白山神社である。禅定道の起点のことを馬場という。かつては白山中宮長滝寺と称したが神仏習合で長滝白山神社...

鮎ランチから郡上市南西部の秘境神社

神社からすぐそばに道の駅があり、鮎料理を提供する店があるらしい。

地のものを食べることをモットーとしている筆者、すでに15時を過ぎているが向かった。

鮎づくしの定食。塩焼き、甘露煮、まぜご飯などすべて絶品で大満足だったのだが、県内で鮎を使った料理は観光客用なのかだいたいやや高額で数いけないのが辛い…

那比新宮神社

このあと行く予定の神社は、そこではないが同じ山域でヒルに噛まれたというレポートが散見される場所であった。

とはいえこの山域の神社目当てで岐阜に来たようなもの、とりあえずは入り口まで行こうと車を走らせる。

やや細めの道を進んだ先に集落があり、さらに進むと到着。那比新宮神社という神社。

雑草+苔むした参道、立ち並ぶ巨木。

夕方前で薄暗くなり始めたこの雰囲気、普段ならクマやイノシシの存在に怯えながらも異世界感に浸って参拝するところだが目下足元にしか気がいかない。ヒルという生きものがいなければこんなことにはならなかったのに。ものすごい神社だよこれ、と冷静な自分が一応声をかける。

奥を見渡しても深い森が続くまさに秘境神社。結果何事もなく無事神社をあとにした。

本来はほど近くに鎮座する那比本宮神社もいきたかったのだが、さらに山深く入り歩く要素もありそうな雰囲気で、もっと時間に余裕がある&ヒルのいない冬前か春頃に訪れようと思う。

さて、ヒルもいなかったみたいだし林道の先にある次の神社にいくぞ!と発進した瞬間横をちいさな動物が3匹駆け抜けていった。

ウリ坊だった。

写真に撮れはしなかったが、近くに親イノシシがいたんじゃないか…?と少しゾッとした。

虚空蔵菩薩を祀る星宮神社

地図を見ると新宮神社と星宮神社は林道でつながっているらしい。

ところがナビは国道256号を大回りする迂回路しか示さない。            

© OpenStreetMap contributors

…とりあえずアタックしてみた。危なそうなら引き返せばいいの精神である。                                                              

なんとなく転がってきてそのまま数十年たったみたいな岩があったり、あとは枝クズが転がってるくらいな道をガタガタいわしながら走る。

やがてみえてくる鳥居。どうやら星宮神社の奥宮である神明神社のようだ。近くには滝が流れる。

ここから歩いて神社境内まですぐ行けたと後でわかったが、正面入口を目指して進む。

やがて神社入口を発見、車を停める。

広くはないが人がまったくいない、またしっかり手入れされた空間がとても気持ちいい。神社ではあるが、御神体(御本尊)は虚空蔵菩薩と神仏習合の歴史が見てとれる。

社務所に置かれた御朱印を頂いて後にする。

夜の郡上八幡へ

このあとは宿を予約した郡上八幡へむかう。

道中川霧に感動しつつ

到着。

宿に荷物など置いて散策しつつ店をさがす。

山菜うまい、初めてみたイワナ酒も最高、鮎雑炊は絶品だった。ただやっぱり鮎は高い…観光地価格?

夜の郡上八幡を散策して帰る。

翌日は4年ぶりの郡上祭り開催だったらしい。見に行きたかったけど明日にはもうここにはいないのです。来年はぜひ見に来たい。

その2へ続く

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