【参拝旅行記】秘境神社巡りの始まり 山梨の玄関口の秘境を目指して 前編

普段地方の神社を訪ねるとき、ひとつふたつ大きな目的地を設定してその周りで立ち寄れそうなポイントを探し公共交通ないし車で一日かけて回るよう行程を組んでいる。これまでそのような旅をいくつも続けてきたのだが、今回はそんな神社旅の一つをレポートしようと思う。

上野原の北方、一日に数本のバスしかない山奥にまさに秘境というべき神社があるという。緊急事態宣言の明けたとある年の初夏、溜まりに溜まった鬱憤を晴らすように県境を越え神奈川〜山梨へと入った。

秘境神社を回るきっかけとなる上野原・軍刀利神社を目指して

関東圏内でどこか行くところはないかとGoogleMapをこねくり回していたある日、「軍刀利神社」という聞き慣れない神社を目にする。この頃は主に御朱印目的で神社を探しており、基本無人であるこの神社の御朱印を頂ける場所がマップ上に記載されていた。のちに知ることになるがコロナ以降は御朱印対応を控えており、現在では年始など特別な時期に限り神社敷地内の社務所で受けることができる。

詳しく調べてみるとこれまで回っていた街中の神社や地方の有名神社とは明らかに違う雰囲気が漂っている。発見したその晩にはもう興味を抑えられなくなっていた。 

軍刀利神社
〒409-0111 山梨県上野原市棡原4134概要上野原の北部、東京都檜原村に通じる道のほど近くの山麓に鎮座する。町との境の第一鳥居から明らかに空気が変わるのがわかる。深い森の中を歩いていると獣の領域を進んでいるような恐怖を感じるほど。しば...

緊急事態宣言が明けたとはいえ人と触れ合うことは当然憚られる時期、街中ではなく山奥を目指してみようと出たこの旅が後々秘境神社へと己を駆り立てていくこととなるとは知る由もなかった…

神奈川の西端・藤野駅からスタート

まず藤野駅で下車。中央道から見えることで有名な「緑のラブレター」が駅前から望むことができる。この日のプランは藤野 石楯尾神社→上野原 牛倉神社→軍刀利神社→相模湖 與瀬神社→産霊宮水上神社 というコースである。軍刀利神社へのバスの時間が最優先であり、場合によってはいけない場所も出てくるかもしれないが当時公共交通しか手段がなかったので仕方がない。それでも久々の遠出、天気も良く心躍りまくりであった。

相模川を渡りのどかな道をひたすら登っていく。

20分ちょっと歩くとやがて森深くなり、薄暗い中を歩いていく。晴れているがこの時点でまあまあこわい。

石楯尾神社(名倉権現)。社号標が独特でカッコいい。エボシ岩がかつて信仰の対象だったという神社だが中央本線工事の折に撤去してしまったという何ともいえない歴史を持っている。

境内への階段が極端に薄暗いので若干震えながら登る。境内に出るととても明るく安心するが木々に囲まれており夏場は虫アタックがすごい。

御朱印を拝受。写真には撮らなかったが社務所もまた虫の楽園となっていた。

相模川 (途中から桂川)沿いを歩いて上野原に向かう。それほど車も通らずのどかな散歩である

上野原の市街地へ

程なく上野原駅に到着。近代的で綺麗な駅舎である。バスロータリーがあり、この日一番の目的地の軍刀利神社へはここからバスに乗れば行くことができる。今回はその前に行く場所があったので駅を通過して反対側へ向かう。

エレベーターで最上階に登ってコンコースを反対側へ歩く。駅前から川まで見渡すまあまあ良い景色を望める

駅を出て歩行者用の道を登り牛倉神社を目指す。ひたすら登るのでだいぶしんどい。道中南側の街並みを見下ろすビューポイントもあったりする。夜景撮影も趣味なので帰りがけ寄りたい。

中央道の上を渡り歩を進めた先に続いての目的地牛倉神社がある。毎年9月に行われる例大祭は「郡内三大祭り」と言われるほど盛大で活気のある祭りらしい。

境内には遊具が置いてあるなど地域に親しまれている雰囲気でとても良い。ここでも御朱印を頂ける。

かなり順調で、近くのバス停の到着時刻までまだしばらくあるということで目の前にあった中華屋に入る。これが驚くほど美味しい店で、この後何度か上野原を訪れる際に必ず行くほどのお気に入りになった。何を頼んでも美味しい。

軍刀利神社へ突入

ここからバスに乗って終点の井戸バス停へ向かう。便数は一日5本程度。行きも帰りも同じなので参拝時間も自ずと制限される。公共交通で行こうとするなら行きの時間に気をつけないと帰り長い道のりを歩いて帰るハメになる。

そんな井戸バス停から軍刀利神社へ向かう。山奥も山奥、左を向くと天気が良ければ富士山が見える。この日このあたりは残念ながら薄曇り模様である。またこの正面の山の先には東京都檜原村があり、ざっくり東西にわたって県境の山脈が広がっている。

神社への目印を過ぎてさらに歩き続けると突き当たりに鳥居が現れる。

魔境の入口

奥は薄暗く、風が唸り声を上げているなんとも不気味な雰囲気である。以前このような森の奥にある社に行こうとして怖気付いて逃げ出したことがあった。人間の入るところではないぞというような空気感に気圧されるが今日は引き返すつもりはない。

鳥居を通り抜ける時にブワっと風が吹いた。たまたまだったが「異界」に足を踏み入れた感覚を覚えるには十分であった。足の震えをよそに先へ進む

上り坂の一本道を進み横を見ると密林 熊が出るという山の入り口のこれは恐怖しかない。互いに気付かず笹のカゲからこんにちはからの大事故が日本のあちらこちらで起きているのである。なんの対策もせず大きめの咳払いで進軍する呑気な私はこの後熊鈴をポチった。

やがて社務所が現れる 夏場のこの日は誰もおらず不気味だがお正月期間は氏子さんたちが中に入り御朱印やお守りの販売などを行っている。右は新年に訪れた際の写真で、人がおり草木も少ない冬場ということもありだいぶ訪れやすい雰囲気になっている(写ってないが本当はもっと参拝客がいた)。

さらに進むと鳥居に至る。手水舎もだが川が流れており水の音が響く。左側には駐車スペースがあり、ここまで車で来ることができる。雰囲気を味わうためにもぜひ歩いてもらいたいところだが。ちなみに左の道は上り坂になっており軍刀利神社の社殿裏からの奥の院への道に合流する。

苔むした階段を登っていく。最初の鳥居から上り坂を進んできた運動不足の体にはかなりこたえる。さりげなく脇に立つ木々が巨木である。

そろそろ着くぞ…と思っていると唐突に剣が見えてくる。

軍刀利神社の社殿。日本武尊を祀る。東征の帰りにこの先にある三国山の頂上に剣を祀ったことが由来である。いわゆる「草薙剣」を模していると言われる。戦の神様だということで大戦中には参拝者が大勢訪れたという。本当の戦いではなくとも何かに挑戦する際には訪れてみるといいかもしれない。

お参りを済ませ、本殿裏手を見ると道が続いている。ここからいよいよ奥の院へアタックである。

後編【15分で登れるんじゃなかったの…?】へ続く

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