2023年の年の瀬、雪に覆われているであろう岩手は盛岡・遠野に向かった。これまで秘境神社巡りを共にしてきた友人と今回も周っていく。
初日:盛岡周辺を巡る
盛岡市内の神社〜絶品中華
東京駅を出て2時間とちょっと、壇蜜様と共に北へ向かう。
無事盛岡駅到着、共に新幹線できた友人とはいったん別行動をとる。海の方へ向かうらしい。車を借りて盛岡八幡宮へ。
品陀和気命 (応神天皇)を祀るとても立派な神社、御朱印帳をいただき隣の護国神社も参拝。
ここからほど近い「イナチャン飯店」というところで昼食を頂く。麻婆豆腐目当てできたが人気は唐揚げだという。というわけで当然両方オーダーする。
麻婆豆腐は理想といってよい四川式の、浮かんだ油だけでうまいタイプ。
驚きは唐揚げで、驚異のサクサクジューシーもはやフライドチキンかというほどの食べ応え、これは一番人気も頷ける。盛岡へ来たらきっとまたここへ来てしまうだろうな、というほど本当においしかった。
大満足で店を出る。
巨木の宝庫・志和稲荷神社
街を南下し紫波町へ。目的地は志和稲荷神社。
創建から千年近くだという歴史ある神社。
盛岡に着いたときから思っていたが雪が少ない。というかほとんどない。一面銀世界を期待して訪れたのでどうも北関東の山あいにきたのか感が漂ってしまう。安全に運転できたのは良いことだったが。
立派な社殿、その左手には何基もの鳥居が立ち並び、その中至るところに巨杉がひしめき出す。御神木かと思ったがさらに奥の方らしい。
神社奥に聳え立つ御神木、これは驚き、樹齢1,000年を超えるここら一帯の主といえる巨杉である。補強してある部分もあり、だいぶ傷んできているのかなと思うがその存在感は抜群で、説明書きの東北随一という表現も大袈裟ではないと感じた。
境内にはこのほか長寿の杉など大きな木がいくつも立ち並ぶまさに巨木の宝庫だった。
達筆な御朱印を頂き神社を後にする。
すぐ近くに志和古稲荷神社という由緒正しい神社があったのだがリサーチ不足で見逃すという大失態。
盛岡を一望できる岩山公園〜盛岡グルメ
初日の最後のミッションは夜景撮影である。ここで落ち合おうと言っていた友人は宮古のあたりにいるらしい。ソロ夜景が確定した。
街から近いとはいえ慎重に運転、何事もなく展望駐車場へ。
10年ほど前に訪れた際にはなかったおしゃれデッキが少し歩いたところに鎮座している。夜はクマこわいなあと(出ないだろうけど)思いながらも眺めが雲泥の差なのでおしゃれデッキから撮影。
街から近く、盛岡中心部を一望できる岩山公園、割とカップルが代わる代わる上がってくる人気のスポットだった。撮影が終わり駐車場までの2分程度の帰り道、クマよりも凍った足元がこわい。ツルッツルの路面を駐車場へと戻る。
市内へ下り、宿に入り荷物を置く。必ず食べると決めていた焼肉と冷麺を求め駅前の人気店「盛楼閣」へ、宮古方面から戻ってきた友人と入店。
これしかオーダーしなかったわけではない。感動的な肉の美味さに途中から写真を撮ることさえ忘れてしまったのである(失礼)。特に冷麺の味にはこんな美味しかったか、と驚くほど。この店は人気店で基本的に混雑しているものの店内は広々としており、数分で入れるので気軽に訪れやすいと思う。
大満足で店を出る。
二日目:花巻を経て遠野を目指す
早朝の小岩井農場へ
暗がりの中車を飛ばし夜明け前の小岩井農場へ向かった。北に聳える岩手山と昇る朝日を浴びた雪原の一本桜を撮るために。
・・・。北の空も東の空も雲まみれでした。
盛岡へ戻る。某牛丼チェーンでさくっと朝食を済まし花巻へ南下。
花巻名物わんこそばを頂く
花巻市は岩手県の中西部、盛岡市から約40km南下した都市で、県内5番目の人口を有する。
まず花巻神社に参拝、御朱印を頂く。
そしてわんこそばの名店やぶやへ。
岩手名物わんこそばは盛岡発祥という説もあるが花巻発祥という説も有力。筆者はわんこそばのイメージにあったお椀を次々載せていくスタイルであるこのやぶやをデビューに選んだ。
初めてのわんこそば、卓に所定の人数が集まってから軽い説明があり始まるという流れ。
待ってる間眺めていた壁に貼られている猛者たちの写真を思い出す。経験者から聞いていた数字と桁が違うのでまったく意味がわからないが、ちょっと挑戦者の気持ちになってくる。
人生初のわんこそばに自信満々で挑む。姉さんの「ハイッハイッ」に合わせて「これはいける!」と軽やかに杯を重ねていく。だが、25杯を過ぎたあたりから「ん…?」と、早くも口の中に違和感が広がり始める。味わい深いはずのそばの風味が次第にただの繰り返しに感じられ、「まだいける!」の念が「もうダメかも…」へと変わっていく。
結果は50杯にも届かぬ47杯というクソ雑魚大惨敗デビューとなった。子どもを除き、卓の男たちの中では無論ドベ。途中そばから離れようと付け合わせの魚介に手を出し始めたあたりでもう心が折れていたのかもしれない。牛丼朝食を控えていればまだ戦えていただろうか。言い訳がめぐるぐるぐる。
花巻市の秘境神社へ
大量のそばを積んだ腹を抱えて店を出る。
気を取り直しここからまた神社を目指す。まず向かったのは成島三熊野神社・毘沙門堂。
神仏習合の名残を残す姿。巨大な毘沙門天の巨像があるのだが、時間もなかったため今回は見送った。またこなくてはならない。
続いて丹内山神社。
樹齢2000年を超えるという爺杉、すでにお亡くなりになっているが根株が残されている。大正時代焼けたという、生前はどのような姿だっただろうか。
七不思議伝説があったり至る所苔むした様子など不思議な雰囲気の漂う神社。
本殿裏にはアラハバキ神を祀るという巨石・胎内石がどっしりと鎮座している。
遠野の夜景を目指す
この旅の最大目的の一つと言っても過言ではない遠野市の夜景を狙いに高清水展望台を目指す。
その前に向かうは道中のめがね橋へ。鉄道ファンの間で特に有名なスポットで、道の駅からすぐのところに川や道路を跨ぐ形でそびえ立つ。
めがね橋とはJR釜石線のアーチ型の橋。正式名称は宮守川橋梁で、夜間ライトアップをしたり、現在は運行終了してしまったがかつて「SL銀河」を走らせていたりと宮守町の一大観光名所となっている。
ちょうどいいタイミングで列車が来る。
めがね橋ラーメンが非常に気になる。
休憩も済ませいよいよ遠野へ。
西陽を浴びて赤く染まる山を見ながら車を走らせる。夜景スポット高清水展望台はほぼ路肩みたいなスペースながら訪れる人も多いという場所。クマが棲んでいようと人がいるなら怖くない!と揚々と向かった。
・・・街へ向かった。思えば当たり前のことだ。昨日の盛岡の岩山公園は山というより整備の行き届いたデートスポットだから問題なくアクセスできるのだ。この時期の遠野の標高800m地点になどいけるわけがなかった。反省。
宿に荷物を置き、夜の遠野へ。
遠野はジンギスカンを出す店が多いという。
もともと羊毛などの目的で農家が羊を飼育していた歴史があったようで、満州に従軍した遠野出身の方が現地で食べた羊肉料理が忘れられず帰国後精肉店兼食堂を作ったのが始まりだという。
同じくジンギスカンで有名な北海道ではタレに漬け込んであることも多いが基本焼いてからつけたり、塩で食べたりなど違った食文化が形成されてきた。
そんなわけで今夜はジンギスカン。こちらはまるまんじんぎす館である。
うまそうに撮れた写真がことごとくないのが店に申し訳ない。とっても美味しかった。盛楼閣とはまた違うアットホームな雰囲気の中レコード大賞を観ながらどぶろくも頂く。〆の冷麺も最高。
三日目:遠野市内神社めぐり
市街地の神社
朝食バイキングの豊富な品数と、自動米装い機に感動しつつ出発する。
まずは南部神社へ。宿からすぐのこの神社は遠野を治めた南部家の初代から8代目までを祀っている。
実は昨夜も入ってみようかと思ったのだが調べてみるとふつうにクマ出没エリアらしく退散した。市街地真隣でなのか…と驚く。
続いて遠野郷八幡宮。
1189年から記録が残る歴史ある神社で地域の守護神として崇敬を集めている。
カッパ淵
遠野の名物といえば忘れてならないのがカッパである。駅前にも像が立つほどの推しっぷり。
遠野に伝わるカッパ伝説のもとは飢饉などで赤子を川に流したという暗い歴史だと言われている。雪が多く街道から離れた山間部、現在のように鉄道網、交通の発達していなかった時代の厳しさは想像もできない。
そんな遠野の観光資源となっている「カッパ淵」は何ヵ所かあるようだが、特に有名なのは土淵町の常堅寺裏に流れる小川である。
遠野では民話を語り継ぐ「語り部」というのがいる。このカッパ淵にも「かっぱおじさん」という語り部がいて、会うことができれば案内してもらえるらしい。今回は誰とも会わなかった。
カッパ釣りをするならすぐ近くの「伝承園」で「カッパ捕獲許可証(220円)」を得てチャレンジするといい。
市街地から離れた神社
荒神神社
権現様(荒神様)を祀る神社。観光ポスターなどではよく使われる神社で、四季を通じて見事な風景を楽しめる場所なのだが、雪に覆われているはずの田畑は茶一色。お陰でお参りはできた。
六角牛神社ー六角石神社
次に訪れる2社は、共に遠野三山の一つ六角牛山に縁を持つ神社である。
六角牛神社は六角牛山を御神体とする神社。そんなに広くないながらも聖域感あふれる魅力的な神社。
続いてさらに街から離れたところに六角石神社。
山へ入っていくな…と不安になったところに牧場。
住吉三神、息長帶比売命(神功皇后)、大己貴命を祀る神社で、例祭では神楽やしし踊りなどの郷土芸能が奉納される。県外からも多くの参拝者が訪れるという。神主様によれば境内ではクマは出ていないとのこと…
卯子酉神社ー愛宕神社
いよいよ最後、遠野市街地へと戻り友人が特に行きたかったという卯子酉神社へ。
無数の赤い布がなんとも言えぬ不気味な雰囲気を醸し出しているが、これは良縁成就を願ったもので歴としたパワースポットである。元は文殊菩薩 (卯)、千手観音 (子)、不動明王 (酉) を祀っていたが、廃仏毀釈により住吉大神、大国主命、大鷲大神を祀るようになったという。
予定外だったがすぐ近くに新里愛宕神社への入口を発見。
せっかくなので参拝しようと階段を登ってみると、そこは木の根ひしめく雰囲気抜群の参道。これはスルーしなくてよかった。
遠野物語にも火伏の逸話が描かれている。
帰路
すでに14時過ぎ、地産地消を謳う遠野市街地の手打ちそば屋まんてんで遅めの昼食をすまし町を出る。
道の駅でじゃじゃ麺など土産物を買い揃え
北上駅に到着。年末の帰省客を迎えに来た車でロータリーが埋まりクラクションが響く中新幹線に乗りこみ東京へ帰る。
見たかった雪はあまり見れず見たかった夜景は路面凍結で見れぬ消化不良を残しつつも「歴史を持った土地」の面白さを感じる旅になった。
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