秘境神社探しを始めておよそ1年たち、このままでは不自由だということでペーパードライバー10年生をなんとか卒業した頃、いつものようにGoogle mapにて神社探しをしていると房総の中心あたりに大きくはないものの魅力的な神社が多いことに気付いた。
運転に慣れ始め車に乗りたくてうずうずしていたこの年の梅雨、クマとかいないし余裕だしぃーと油断100%で立ち入った房総の森で悲劇に見舞われるとは夢にも思わなかった…
房総半島中心部へ
ときは2021年6月、友人の「ポッポの丘いきたい」というリクエストがきっかけだった。
個人的に安さ、快適さを兼ね備えたベスト交通機関、高速バス(ただし昼行に限る)を使い木更津駅へ。
ペーパー卒業したて、安さ重視で借りれたルーミー君。
発進からしばらく民家を貫通し爆走しているという不安になるカーナビ君も程なく落ち着き、房総の中心部へ向かう。
いすみポッポの丘
ポッポの丘は、有限会社ポッポの丘が運営する鉄道車両保存施設である。いすみ鉄道や銚子電鉄などの車両を展示したり、カフェや休憩所として利用している。
元は養鶏場だったようで、牛もいたようだが車両が増えていく中で畜産業を縮小させて現在の業態になったという。現在でもカフェで卵料理の提供を行っている。
電車好きの友人はとても満足した様子、とくに詳しいわけではない自分もなかなか楽しめた。
ここからは怒涛の神社巡りに友人を付き合わす旅程となる。
上総中野の秘境神社に踏み込む
上総中野駅横の駐車スペースに車を停め秘境神社へ。
上総中野の小さな秘境 山神水神神社
房総には至る所に川が流れている。これらのほとんどは自然の川ではなく、川廻しといって農業のために大きな河川から水を引っ張る目的で人工的につくったものである。
上総中野駅の近くにも川が流れており、この平沢川を渡った先に鎮座するのが山神水神神社である。
飛石をわたろうかとおもうとなんとイタチが!すぐに逃げてしまったが、このあたりの草むらでもガサガサなっていたので何匹かいたかもしれない。
思ったより雰囲気のある参道、階段を上ると社がある。
創建など詳細は不明。とにかく雰囲気がいい神社。駅から数分でアクセスできるのは魅力的。
悪魔襲来
鳥居をあとにし階段を降りる、ふと右手の道が気になった。
草むらの中のか細い道、なにか先にあるのかな?と進んでみる。
広い空間、とくに何も無いのだが秘境感は溢れている。
引き返し友人にいう。
「この道ヒルいそうだよな?」
「え、いたよ?」
「え」
比較的安全そうな足場の上で裾をまくってみる。
「うわ、、いる!!」
蒼白くなる顔。
おぞましい吸血虫の姿がそこにはいた。
この先慌てていたのもあり、吸血虫の写真は一切でてこないので安心してほしい。
その場で目についたものを払い落とし、早足で車へと戻る。
安全地帯、駅前へ戻り念のため靴を脱ぎさらに裾をまくると出るわ出るわのヒル祭り。大漁収穫である。
友人はたまたま6月ながらスキー用の分厚く長い靴下を履いていたおかげで4,5匹のぼられながらも被害はなかった。
対して筆者は8分丈?のスラックスにくるぶしソックスという森をなめた格好をキメていたものの、のぼられも吸血被害も一匹に留まった。のちに調べたところどうやら先頭を歩いている人は比較的被害が少ないらしい。
厄介なことにヤマビルは直接攻撃に強い。どれだけ踏んづけようが吸った血を豪快に吐き出すだけでまったく効かない。
結局ここで落としたヒルたちは始末することができず逃してしまった。血は吐き出させたので産卵はできないと思うが、基本的に被害に遭った場合、産卵体制に入るためそのヒルはしっかり始末しなければならない。
この後薬局にかけこみヤマビル〇ァイターを購入するのだが、このような忌避剤やアルコールスプレー、制汗剤など吹き付けるだけでヒルは瞬殺できる。
この一年ほど経った頃一度だけヒルと邂逅することになるが、虫除けスプレーで一撃殺できるとわかったときは震えた。もはや恐るるに足らずじゃないか、と。
その日もう樹林帯には避けて入らなかったが。
昼食からの田んぼにぽつん神社
目的のひとつに勝浦タンタン麺があった。勝浦の中華屋でたべたことがあり、美味しかったのだが有名店でも食べてみたかった。
しかし行ったことがある人はわかると思うが引くほど並んでいる、というか車の中で待っている。静岡の某ハンバーグチェーンほどの待ち時間ではないがもはや車を停めるスペースすらなく諦めるほか無かった。
しかしすぐ近くに手打ちそばの店がある。評判も良さそうなのでいってみたところ、これが大当たりだった。食感、そばの味、天ぷらも素晴らしく後にここ目当てで勝浦まで来ちゃったほど。
田んぼにぽつん、大楠菅原神社
近くにあると言う大楠菅原神社を目指す。 街道から神社の姿を確認、細い一本道で神社までつながっている。
そこだけが森になっているような、水田に囲まれて島のようになっている境内。
はいってすぐの巨木が素晴らしい。
彫刻も見事でなかなか見どころのある神社だった。
鴨川の秘境神社とインスタ映え洞窟
丘が丸ごと境内の横山神社
やがて鴨川市へ入る。房総の道はとても走りやすいが初心者には後ろからかっ飛ばしてくるベテランがこわい。たまにイニ〇ャルDやってんのかな?というような制限×2倍速みたいな人にでくわしたりした。
そんなこんなで辿り着いた横山神社。
こんもり丘のようになっているのが神社の敷地だ。
車を停め、鳥居の見えるところまでくるといきなりうっそうとした雰囲気に驚く。
この様子をみた友人は参拝を断念した。どうみてもいるでしょここ!と叫びながら車へと駆け込んでいった。
筆者はとりあえず足を忌避剤まみれにして(ズボンとかにはあまりかけないほうがいいようです、だいぶ白くなりました)、接地時間を減らすべしとジャンプしながら前進し境内を目指した。あまりにもマヌケな様相、友人には動画を撮ってもらえばよかった。
雑草に覆われた境内、勢いよく足踏みしながら散策、参拝する。社殿裏に回ると鹿(キョン?)と目が合いたちまち逃げていった。そりゃあ怖いだろうな。
来た道をもどり車へ。
友人に足回りをみてもらい(自分では怖すぎてみれない)、ジャンプ参拝が功を奏したか無事を確認して乗り込む。
人気の映えスポット 濃溝の滝・亀岩の洞窟
最後の目的地へ。今度は神社ではなくインスタ映えスポット「濃溝の滝・亀岩の洞窟」である。
有名な差し込む光でハート型♡とかはどうせ見れないことがわかっているのでどんな場所か見ておきたい、くらいの目的である。
駐車場から歩いて数分程度、遊歩道から階段を降りていくと到着。
広い川幅で奥の壁がぶち抜かれたような形。
ふと川沿いを歩いていて(歩けるような川ではないが)これがでてきたら感動するだろうな、と思った。
ネガティブ全開意見だが、どうも観光地として見にいくと魅力が半減するよなーと華厳の滝にいったときですら思った覚えがある。今までいったところだと富津市の急駟滝や群馬県の嫗仙の滝みたいなのは理想に近かった。
とはいえ美しい風景なのは確かである。薄暗い夜明けならばまた雰囲気も違うだろうなと思いながらこの場を後にした。
もちろんこの間手にはヤマビルファイターを握りしめていたことは言うまでもない。
帰路〜旅の終わり〜
車を返しに木更津へ向かう。
せっかくなので海をみて帰ろうと、三井アウトレットパークの駐車場へ立ち寄る。
ヒルに怯え、ジメジメした森の中から帰ってきたとは思えないほど涼やかな景色。
一日の疲れもリセットされたような気がした。
こうして房総の旅は終わりを告げた。ポッポの丘など遠い昔のよう。
この後ヒルについて徹底的に調べあげ、忌避剤、出現ポイント、現れる時期など注意して確実にあわないようにしながら房総を訪れている。4月だとどんなぬかるみに足を沈めても一切でてきていない。無論武装しているが。
ちなみに調べたところ頻出ポイントは房総南部、神奈川の丹沢、鈴鹿山脈らしい。筆者むらぴよ経験ではそのほかに群馬水上、御殿場が危険ポイント。見てはいないが岐阜県山間部もうじゃうじゃいるよう。
皆様ぜひ気をつけて夏のレジャー・夏の房総を楽しんでいただきたい。
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