「夜景」と「神社」は相性がいい。神社は基本的に里より高いところに建てられるからである。筆者むらぴよは神社巡りにはまるまでは日本全国の夜景をまわるほどの夜景好きであり、かねてから夜景スポットの中に神社がちょこちょこあることが気になっていた。この記事ではどちらかというと神社よりも夜景紹介か?というようなバランスの悪さがあるかもしれないがご容赦いただきたい。
誰がこんな高い山の頂上に神社など建てたいと思ったのだろうというような場所も現代では車でアクセスできたりする。できないところもあるが。夜に参拝することをあまりお勧めしない説もあったりするが、そこには都会でビルに登ってみる景色とは違った趣きがあり、なんとなく怖いなあ…でいかないのはもったいないと思うのである。
この記事ではアクセス度外視で行きやすいところも行きにくいところも紹介していこうと思う。徒歩でしかアクセスできない山の上などもあり、あまり軽い気持ちで行かない方がいい場所に関しては行かれる場合は細心の注意を払って自己責任でよろしくお願いしますとお伝えしておきたい。
夜景が美しい神社4選
高屋神社(香川)
香川県観音寺市の稲積山頂上に鎮座する、近年SNSで「天空の鳥居」として有名な神社。
アクセスは登山か車かの2択。しかし近年人気が高まりすぎて休日はマイカー規制、シャトルバスのみが楽に登る手段となっている。
高屋神社下宮から登山開始。だいたい40分程度の行程で、それなりに登山者とすれ違う。
稲積さんと親しまれる高屋神社 御祭神は邇々杵命・咲夜比女命・保食命。
お参りを済ませ、天空の鳥居と観音寺市を見下ろすスポットへ。
山々に囲まれた観音寺市の夜景が広がる。都心と違って高い建物があまりないので光の粒を散らしたような光景になる。海と山の恩恵を受けているであろうことがこのくらいの高さから見るとよくわかる。
先程も述べたように、休日はシャトルバスしか徒歩以外の手段はなく、夜景撮影を終える頃には最終時刻を過ぎている。なので平日に車でアタックするか、徒歩で暗闇の山道を下山することになる。極端に足場の悪いところや鎖場などの難易度の高い箇所は特にない。登りで道の状態を確認し、下りはライトでしっかりと足元を照らせばそれほど道の危険度は高くはないかもしれない。とはいえ地元の方によればこの山にはイノシシが生息しているという。車が絶対安全というわけではないが、夜景目的であれば平日にアクセスしたほうが無難かと思われる。
太平山神社(栃木)
栃木県栃木市にあり、栃木駅からバスでアクセスできる神社。西暦827年、慈覚大師により創建されたと言われている。以前記事にした秋田県男鹿半島の赤神神社五社堂も慈覚大師によって建てられたといい、
赤神神社は999段の石段を登るが、こちら太平山神社もおよそ1000段の石段を登り社殿に至るなどちょっとした縁を感じる。雰囲気は全く違うが。
御祭神は瓊瓊杵命、天照皇大御神、豊受姫大神。
社殿から向かって右に進むと食事を取れる店などがあり、視界が開けるスペースがある。昼ごはんやちょっとした軽食を食べながら栃木市を一望できる場所なのである。
またここまでは車で登ってくることができ、石段を一緒に登っている人も、すれ違う人もそれほどいなかった割には参拝客がいるので、ほとんどは石段ではなく車で登ってくるのかもしれない。
駐車スペースのヤリクロ君とはこの日限りのかりそめの関係である
標高がものすごいわけでもなく、木々が生い茂る中派手な夜景とはいえないが、落ち着いて見ていられる癒しの夜景ではないだろうか。愛車を撮影するにもおあつらえ向きのスポットである。
当然神社なので大騒ぎなどもってのほかである。
筑波山神社 女体山御本殿(茨城)
茨城県つくば市にあり、関東を代表する名峰筑波山。その頂上には男体山と女体山がありそれぞれに御本殿が立つ。女体山御本殿の横から岩場に出ると関東平野を東京都心、果ては富士山まで見渡せる絶景が広がる。整備されたスカイデッキもすぐ近くにあり、こちらは安全に夜景を楽しめる。
まず筑波山神社へ。主祭神は天照大神の両親、伊弉諾尊・伊弉冊尊。
筑波山は関東平野の田園地帯にこんもりと立つ。独立峰にみえるが、実際には八溝山地最南端の筑波山塊に位置する(日本百名山.net)。ファミリーで登れる山。
女体山頂上に鎮座する女体山御本殿。ここまではロープウェーで来ることもできる。
そんな頂上で日没を待つと…
絶景も絶景。見えているのは男体山の山頂部。関東平野に陽が沈む。
はっきりわかる道路の形、くっきり分かれる光と闇。まさに宝石箱状態。
水田などが多く、それほど建物などがないつくば市を標高877mから見下ろすとこのような美しい景色となる。
夜景が美しく見えるのは四季の中では冬である。ただここまでの標高の山で、展望フロアとかではなく野ざらしの山頂部では引くほど猛烈な寒さに襲われる。逃げ込む室内もないので防寒対策は万全で訪れてもらいたい。
下山はロープウェーで安全に。
武甲山御嶽神社(埼玉)
ラビューに乗って秩父へ観光に訪れると必ず目に入る、その山体を削りに削られた荒々しい山がある。
武甲山である。
埼玉が誇る日本二百名山の一つで標高は1304m。休日の朝は駐車場が埋まるほど人気の山である。この武甲山山頂に御嶽神社が鎮座し、秩父市街を一望する絶景が広がる。
これから紹介する道程はしっかり装備を整え、準備を万全にし夜登山に挑んだものである。登りも下りも自分の足以外に手段はなく、熊などの獣も生息している山である。決して推奨はしない。訪れる場合はしっかり必要なものを調べて、絶対に一人では入山しない、可能なら登山経験者とともに登ることをお勧めする。
駐車場に車を停め、闇に浮かぶ鳥居へ進む。この時は冬、基本的に熊は出てこないはずの時期。それでも鈴を鳴らしながら慎重に入山する。
道自体はそれなりに整備されておりほぼ迷うことはない。一瞬こっちでいいのか?というポイントもGPS機能つきのアプリを使っていれば遭難のリスクは下がる。
駐車場から2時間半程度、ようやくその姿が見えてくる。
夜だけでは怖すぎるので朝の写真を添えて。主祭神は日本武尊。東征の際にここ武甲山頂上に武具を埋めて関東鎮護としたことが開創と言われている。
ここまでの無事に感謝のお参りを済ませ、社殿横から奥へ進むと…
これは…天の川か?
夢かと見まごうほどの美しすぎる夜景がそこには広がっていた。もちろん写真で見て知っていたからアタックしたのだが、事前情報と長ーい登山時間により上がりきったハードルをはるかに軽々と超えるものだった。
右手は横瀬の町、左手は秩父市街地、奥に一文字に広がるのはおそらく熊谷・深谷・本庄のラインと思われる。秩父の夜景の名所美の山公園や長瀞の宝登山なども全て眼下に見下ろす、標高1304mの夜景スポットは日本全国でもなかなかない。
秩父が誇る石灰工場。眠ることはないこれぞ不夜城と言える。
陽が昇り三角の武甲山型の影が現れる。
秩父夜祭では秩父神社の女神と武甲山の男神が年に一度の逢引をする、という伝説がある。武甲山は秩父神社の御神体山とも言われており、昔から秩父と武甲山は深い関わりがあったのだと想像できる。 武甲山御嶽神社は横瀬町に里宮があるので、山頂まではちょっと…という方はそちらに参拝していただきたい。
今回夜景という切り口で紹介したが、これらは昼の景色も当然絶景である。日本全国至るところにこのような場所はあり、今後も定期的にピックアップしていきたい。
都内でも赤坂日枝神社や神楽坂の赤城神社、品川神社など手軽に行けて夜景を楽しめる神社はある。安全第一、普段なかなか行かないこのような神社に足を伸ばして訪れて見てはいかがだろうか。
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